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2010年05月16日

「宇宙ショーへようこそ」試写会の感想(ネタバレなし)

6/26公開のアニメ映画を、
プレミアム試写会にて一足先に鑑賞させて頂きました。
昔から注目している舛成孝二、倉田英之両氏による初の劇場作品です。



『宇宙ショーへようこそ』公式サイト


公式サイト、予告編映像以外の情報は入れてはいませんが
マニア以外には関係ない、技巧面でのネタバレは多少あります。

100512_1746~01.JPG

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2010年03月26日

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト。思わせぶりの罪

ものすごく気が進まないのですが、
神戸守監督の信者として過去に色々書き散らかしてきた自分が
完全スルーするのはちょっとマズイと思いました。

なお、前の記事を読めば分かるとおり
私が、一般のアニメファンとはかなりずれた
嗜好、感性であるという事は一応自覚しております。


この作品中では

クレハがコンプレックスを吐露したり
フィリシアが鬱になったり
リオが鬱になったり
ノエルがヒィィィとか言ってましたが

その度に私はイライラしていました。

なぜならば、ことごとく私の知り得ない事から
キャラクターが打撃を受けているからです。
過去に何か色々あったらしい、というのは分かりますが
詳しい事情抜きでキャラの心理に寄り添えと言われても、無理です。

ヒロイン達に対して「その傷みを分かち合いたい!」と思っても
事情が分からないゆえ出来ない、というのは
萌え系アニメとしてはかなりストレスになると思います。
まるで彼女らから自分が拒絶されているような感じです。

また、現状が過去と比べてゆるすぎて
悩みが過去と現在においてリンクしている感じが薄く
PTSDのフラッシュバックのような唐突感が
常につきまとっていました。

そんなこんなしているうちに
大抵あとからチラッと原因になった出来事等が描かれますが
理屈では分かっても、
感情的には何のプラスにもなりませんでした。
リオの決断に至っては
取りうるべき選択肢が前もって示されていないので
決断の意味が理解できませんでした。あとから分かりますが…。

さて、
「あとから根本部分をネタバラシ」というのは
「投げっぱなしや作り手の力量不足」よりもタチが悪いと、私は考えます。

仮に制作側が、観客に与える情報量を絞ることにより
観客よりも優位に立ち、
それでもって物語をコントロールしている、
またはサプライズの連続だぞどうだすごいだろう
という気になっているならば、猛省すべきです。
本作からはなんだかそんな様な意図を感じます。

そんなことをしたら、それはもう物語ではないです。
それが言い過ぎだとしても、少なくとも
何をされても最後まで視聴するドM、もとい
コアなファンの為の物語にしか成り得ないでしょう。

謎を描きたいのならば、
観客に、キャラが知り得ている情報を提示しつつ
「テレビの前のみんなも一緒に考えましょう!」とやるべきです。
ミステリィ小説の鉄則でこんなのがあったような。

また冒頭に述べた理由で、本当に萌えさせたければ
キャラと喜怒哀楽を共に出来るような「情報のフィールド」を
用意すべきだと思います。

というわけで、
脚本家は「出し惜しみ(思わせぶり)」を使わないよう
自らを戒めるべきだったし
プロデューサーや監督は止めるべきであった、と思います。

細部には結構楽しめるところがあったものの
全体的には残念な出来に思えました。
監督名が伏せられていたとしたら3話ぐらいで切ったと思います。

うーん残念です…神戸守ってこの程度だったっけ?orz
演出に華が無いとかそういう欠点はあるにしても
根本部分で分かってない事は無い人だと思ってたのだが…。
今回は特に、放送前にA-1ピクチャーズのイベントにて
ファン歴約10年目にして
監督ご本人に接近遭遇を果たしたあとだったので超がっかりです。
できるなら褒めまくりたい。応援しまくりたい。

他にも
神戸守FCの総本山?である至好回路さまにて
ゲストとして色々発言させて頂いております。
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト対策室 :至好回路
3話あたりまでの私の感想が読めます。

2010年01月31日

『シムーン』は百合かと思ったら正調ジュブナイルの傑作だった

個人的に「ゼロ年代で心に残ったアニメ」で『コメットさん』と並ぶ
双璧になることが決定したようです。
オタから脱落する前に、こういうのをあと1本ぐらい観てみたいものです。

あと2006年当時リアルタイムで観なくてほんとすみません。
「あざとすぎる百合だ」と回避してました。ほんとすみません。

それでは、全26話の感想をできるだけ冷静に書きます。
今更ですけどネタバレはありません。


1.テーマ前面出し

じつは、テーマ優先主義は好きではありません。
なぜなら失敗が多いからです。特にアマチュアの作者に顕著ですが、
テーマを語ろうとしてキャラに不自然な言動をさせたり、
無理矢理な話の展開をしがちだからです。

結果、血の通ったキャラクター、作品が出来ません。
証券会社のCMとかで、小さな孫が祖父に「これからは金利変動型投資信託の時代だね!!」とか
言っちゃいます。糞が!!!!と思います。

お話を作り込んでいった結果、隠しきれなかった思想がでてきちゃいました。
というのが一番良いのではないかと思います。

またアマチュア作品の場合、
語りたい!という原動力として、テーマ性は良い動機たりえますが
商業作品だと、テーマなんぞは一銭もゼニを生み出しません。
上記の害を承知でそれでもやるとしたら、ぶっちゃけオナヌィーでしょう。

シムーンは1,2話でアホみたいに明確なテーマ性を打ち出してきました。
非常に驚きました。
そして物語の定石をブン投げてでも、最終話までそれを貫き通したのは見事です。


2.巧みな設定

作品世界に置かれたガジェットが作品に緊張感を与えています。
シムーンの世界では、人は全て女性として生まれ、17歳になると「泉」へ行き
自らの意志で性別を選択、固定化します。

第1に、性の固定化は、少女(的な中性の人間)にとって
ある種のジェンダー・クライシス(性のありようの危機)なわけです。

第2に、純潔性が無くなるのか、性の固定化をすると
神の乗機ことシムーンを操縦できなくなります。
これはシムーンの操縦を生き甲斐とする少女達にとってアイデンティティの喪失を意味します。

第3に、隣国との戦争により主人公達は、
本来は祭祀用である飛行機械シムーンを兵器として使うことを強要されます。
それが嫌な場合、シムーンを降りて「泉」へ行くという選択が課されています。

何処にも退けない三重縛り。なんというサド設定。うまいと思います。
血なまぐさい描写は極力避けられているようですが、
戦場に置かれた少女達の重苦しい空気が良く出ていると思います。


3.ドブ板すぎるキャラ描写

キャラクターの抱く葛藤を執拗に描くことによって
視聴者が、キャラクターに寄り添っているような感覚を得ることができます。
彼女らのしてしまう恥ずかしい失敗も、誤った選択もあまさず拾っています。

外部から降ってわいてくる、幸運もほとんど無いです。
「だって、天才だから」的な主人公補正もほとんど無いです。
主人公達の決断によって、全ての物事が展開するのは
作劇的にけっこう面倒かつ意欲的かと思います。

まぁ副作用として、
メンバー間の争いが絶えない辛気くさーい雰囲気になっていますが
(主人公チームがこんなに仲の悪いアニメ見たこと無い)
「肥大する自我に苦しむ少女達」が余すことなく描写されていると思います。


4.何故かどんどん良くなる作画

予算かスケジュールの関係か、
スタッフがヒートアップしてきたのか(多分こっち)
あとになればなるほど作画が豪華に。
OP映像よりも良いカットがバンバン出てきます。
ハマっている視聴者にとっては大変お得です。


まとめ

思春期に、バクハツしそうな自意識を抱えた少女が
時としてそういう関係性を形づくるという意味で、
本作での百合要素は副次的な産物となっています。

本質は、彼女らが永遠の少女としてのモラトリアムを終えて
大人の世界に旅立っていくという(12人それぞれを描く!)
正調ジュブナイルとも言うべき物語です。

1話,2話において
作品の方向性が余すところ無く描かれますので、
視聴の継続はそこで決めると良いでしょう。
これは良いと思ったら、その期待は裏切られずむしろ加速して
エンディングを迎えられると思います。
なお前半にはちょっとダレる箇所があります。

逆に、昔の少女漫画というかタカラヅカ的な雰囲気は、
現状のオタク業界における
「おにゃのこ達がキャッキャウフフ」とかなりずれていますので
感性が全く合わないという人も居ると思います。
どちらにしろ、人を選ぶ作品と言えるでしょう。


それにしても、テレビアニメも捨てたもんじゃないですね。
今後もこのような、
作品に対しスタッフが真摯に向き合ったものが制作されることを望みます。
オタっぽいもの、真面目なもの、どういったものでも。
あ、でも出来ればオリジナルで。


最後に

アーエルいいよアーエル。バカだけど凛々しい。むはー
立場的に応援したくなるのは、使えないオスカルことパライエッタ。

リンク集

シムーン公式サイト
インタビュー、コメントで重大なネタバレ注意。

蔵出シムーン 監督+作画監督編
デッドリンクで公式メニューからは入れないです。ネタバレ注意。
スタッフのモチベーションが高かったことが伺えます。

『シムーン』、思春期のレクイエム(1)

私がとても好きなSF作家、秋山完氏による激賞文。
こんな長文かましてるなら新作・・・ゴホンゴホン。お待ちしています。
核心のネタバレ注意。

2009年12月10日

親父さん空気読め。(マイマイ新子2回目)

前回の記事で批判点を挙げましたが、2回目を観て新たな知見を得ましたので書きます。

念のため申しますが、難癖をつけたいのではなく
本気で応援したいので欠点もちゃんと書きたいのです。
また口コミで広げようという動きもあるなかでは
欠点を隠してプッシュするというのは
おすすめされる側にとってはうさんくさいし、反感を得る気がします。

以下核心では無いですがほんのりネタバレ。

さて。自分の考える本作最大の欠点を述べましょう。
新子の親父さんです。
登場のタイミング悪すぎですよ!エピローグまで我慢してて下さい。

前回指摘したテーマ的結論は、
実は親父さん登場直前のシーンで語られていました。
(とても分かりづらい描き方だと思いますがその点は割愛)
しかし親父さんの登場と朗らかな挿入歌のせいで、
記憶からさっぱり抜け落ちてしまったようです。

問題なのは、あの瞬間「子供の世界」から
「家族の物語」へ視点がシフトしてしまうことです。
これはモロ大人からの視点です。結構ガッカリです。
某なんとか合戦ぽこぽんのラストの
「おいおいこの物語は監督の愚痴だったのかよ」と感じが似ています。

ジイさんをサービスシーンまでつけてあれだけプッシュしたし
貴伊子の親父さんをあれだけ空気化したのだから
新子親父はスルーして良かったんじゃないかなぁと思います。
キャラは好きなんですけどね。

さらにクライマックスのシークエンスについて付け足しますと
ストーリーラインが

・平安
・昭和
・貴伊子視点
・新子+タツヨシ視点

に重層化して一気に難解になりますので
ただでさえ観客の頭はショート寸前と思われます。
そこに「家族っていいよね!!!!!!」みたいな
分かり易いモチーフを持ってくると
ことごとくそちらに誘導されてしまうんじゃないでしょうか。
自分もそうでした。
でもそれが描きたかった映画だとは思えないのです。

ーーーーー
フォローついでに。
ダム完成のあたりまでの出来は文句のつけようがないです。
見直して仰天したのは、諾子らの舟が防府に到着したのが
映画が始まってすぐだったこと。
あれだけトリッキーな構成を一瞬で説明出来ているのは素晴らしいです。

その後じんわりじわじわと諾子を小出しにしていく構成は
良いですねー。時間軸での二重構造が成立できているのは
計算された構成によるところが大きいのではないでしょうか。


萌え視点の感想があってもいいじゃないかコーナー。
貴伊子が母の真似をするシーンは
サプライズ的なカット割りもあって何度もキュンとなります。
キモイ言うな。事実だったんで書きます。

でも、色々カッ飛んでいたおっ母さん(昭和20年代にウェディングドレス)と
貴伊子が母をどう捉えているかが分かる良いシーンですね。
別に私は家族解体主義者ではないのです。ハイ。

参考リンク:
「マイマイ新子と千年の魔法」個人サイト感想リンク集~なんでぼくは泣いているのか教えてくれ~ - たまごまごごはん

精力的な活動が素敵です。

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