記事一覧 | ホーム »宇宙開発応援中 »個別記事
« 『秒速5センチメートル』期間限定配信中コメント欄のスパム対策を強化 »

2007年03月09日

「はやぶさ2」予算獲得キャンペーンの結果

2007年度予算化が怪しかった、小惑星探査機「はやぶさ」の後継機について
当ブログでも微力ながら応援してきました。

「はやぶさ2」を財務省におねだりしてみる(2006年10月26日)
なぜそこまで『はやぶさ2』なのか(大臣にメール)(2006年12月05日)
こんどはJAXA理事長へメール(はやぶさ2)(2006年12月10日)

ブログ上でのアフターフォローを忘れておりましたが、
結果が出ていたのでここに報告いたします。

予算要求約5億円に対し、「次世代小惑星探査機」の名目で5000万円が付いた模様です。


情報ソースは、ノンフィクション・ライターの松浦晋也氏です。
公式ソースではないですが、信用できると考えておりますので、その前提で進めます。
さて、その舞台裏ですが、松浦氏はこのように述べています。

(前略) 要求の1/10だ。この額をが出てくるにあたっての経緯は、私が聞いた限りにおいて以下の通り。

・JAXAと財務省の折衝の過程で、一度「はやぶさ2」予算はゼロになった。JAXA側が財務省に出す要求において、自発的に落としてゼロにした予算案を提出した。

・文部科学省が「はやぶさ2」予算を得るべく、財務省とねばり強く折衝した。

・しかしながら、一度JAXAが自発的にゼロとしたものを復活させるのは至難の業で、結局次世代小惑星探査機という名目で5000万円が予算化された。

 これをどう解釈すべきか。

 JAXAは、「はやぶさ2」に4番目の優先順位を与えていたが、実際問題として財務省との交渉過程で、取引の材料に使うための捨て駒として考えていたらしい。一端引っ込めたというところからして、「はやぶさ2の予算を引っ込めますから他の予算を通して下さい」という形で利用しようとしたと解釈するのが合理的である。(後略)

松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その1:来年度予算折衝の結果

え~~~
JAXAはやる気無かったんすか。
ひょっとすると、我々が動かなかったらゼロ査定だったのですか。勘弁してください。
あれだけ成果を出したプロジェクトの後継機が、現場でも低く見られているのはショックです。
「Science」で特集組まれたんだぜー。
オリンピックで日本人が表彰台を占拠するぐらいの事ですぜ。
Science/AAAS | About the Cover: 2 June 2006; 312 (5778)
日本語版サマリー(by田辺製薬)
衛星破壊実験とか、良くも悪くもぼちぼち宇宙時代に突入したと思うので
惑星資源探査技術というアドバンテージがあるだけでも
日本の未来には良いことだと思うんですが。
もっとあけすけに言うと、JAXAの存在感、というか権益保持のためにも。

また(宇宙ファンにはおなじみの)最近の日本の宇宙開発の問題点(というか性質)が
出てきてしまいました。
このへんについては、松浦氏が一連の記事にしていますので
興味がありましたらどうぞ。良くまとめられていると思います。

松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その2:政治や行政に意見を出すということ
松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その3:5億円の、それ以上の資金の集め方
松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その4:成功と失敗を判断するメンタリティの相違
松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その5:基礎研究の不足
松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その6:安いことは悪いこと??
松浦晋也のL/D - 「はやぶさ2」その7:意志決定の中にある「常識」の断裂


ちなみに予算要求5億円というのはお役所的にサバを読んだ額では無いので
(先行発注の部品代だそうで)
5千万円ではかなりどうしようもない額だそうですが、
現場はまだ諦めていないそうです。(応援いたします)
また、ゼロでは無いというのは大きな意味を持つと思われます。
行政、政治の世界では「0から1」は「1から2」よりも難しそうですから。


翻って、私たちの活動もどうやら何かの一助になったらしいです。

(前略)自分では直接行動をしないけども、宇宙に関心があって、情報を得たいという人を集めて、宇宙ファンクラブを作ろうと計画しています。インターネット上で情報配信ができますし、場合によっては、質問も受けつけることができるでしょう。このようにして日本で宇宙に対するファンを増やすと、ひいては良い人材が宇宙開発に従事することになるのではないでしょうか。(後略)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長 立川敬二 ~2007年の新年にあたって~

タイムリーかつ今まで無かった話なので、
JAXAのなかで意識の変化があったとするならばそれはそれで嬉しい限りです。
まぁ、宇宙ファンクラブとやらに関しては
我々の行動をコントロール下に置こうっていう意味なら願い下げですが(斜に構えすぎか)。


最後に、数億キロの彼方で頑張っている初代「はやぶさ」ですが
そろそろ帰還軌道に乗るようです。気が向いたら改めてご報告いたします。

松浦氏の著作を宣伝:

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―
恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―松浦 晋也


おすすめ平均 star
star技術者なら泣ける
star自分の名前も火星の彼方に
star科学好きなら読むのは必須ではなかろうか?
star読みやすい
star地味な科学者こそスポットライトを!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

火星に到達するも失敗した「のぞみ」計画苦闘の記録。

瀕死での1ビット通信とか起死回生の軌道変更とか極限までの軽量化とか、泣けます。

[△TOP][記事一覧][ホーム]